今回は酸蝕症の原因についてです。
酸蝕症の原因は内因性と外因性に大きく分けられます。内因性はGERD(胃食道逆流症)や摂食障害による持続的な嘔吐などにより、胃液(pH 1.0〜2.0)が口腔内に逆流することで起きます。妊娠中の悪阻や慢性アルコール依存症による嘔吐も原因になり得ます。
外因性は職業性因子と酸性飲食物の過剰摂取に起因するものにわけられます。職業性因子は仕事で酸性ガスを取り扱う、ソムリエのようなワインを頻繁に摂取するなど職場の環境によって歯が溶けてしまうものです。
さて、酸性飲食物の過剰摂取による場合ですが、現代社会では一番のリスク因子になります。日常生活では、なんと75%の飲食物がエナメル質臨界pH値 (pH5.5)よりも酸性なんです。
現代社会ではコンビニエンスストアや自販機で気軽にペットボトル飲料を購入できます。さらに健康志向の高まりから黒酢やレモン飲料、ポカリスエットを飲まれる方も多いようです。
下記によく見かける飲料物のpH値を表したグラフを載せました。よく手に取っていませんか?
【次回へ】
参考文献
1. 北迫勇一,岩切勝彦著,『知る•診る•対応する 酸蝕症』,クインテッセンス出版株式会社, 第1版, 2017
2. 『飲食物で歯が溶ける?!酸蝕症にご用心』nico7月号, クインテッセンス出版株式会社,2014