『なんで毎日歯磨きしているのにまた虫歯ができるんだろう』『健康には気をつけているんだけど、また虫歯ができた』患者様がよくおっしゃっられます。
虫歯は『歯、細菌、細菌の餌、(時間)』の条件が揃ってできるのですが、細菌を介さないでも歯は溶けるんです。
毎日、色々なものを口にしますよね。その度にお口の中の環境は酸性に傾き、歯からリン酸とカルシウムが溶け出します。いわゆる脱灰状態になります。エナメル質が溶け出す臨界点はpH5.5ですので、それ以下のpH環境になると歯は溶け出します。
一旦、歯が脱灰状態になっても口腔内の唾液によって酸性状態が中和されて再石灰化が行われ、溶け出していたリン酸やカルシウムが歯に戻ります。
このように、毎日お口の中では絶え間なく脱灰⇄再石灰化を繰り返しているのです。
しかし、甘いものの間食や酸性食品を摂取する機会が多いと再石灰化する時間が少なくなり、歯が溶けてしまいます。
このように細菌がなくても、酸性のものによって病的に溶けてしまった歯のことを『酸蝕症(さんしょくしょう)』と言います。
【続く】
参考文献
1. 北迫勇一,岩切勝彦著,『知る•診る•対応する 酸蝕症』,クインテッセンス出版株式会社, 第1版, 2017
2. 『飲食物で歯が溶ける?!酸蝕症にご用心』nico7月号, クインテッセンス出版株式会社,2014